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盛土規制法とは?旧宅地造成等規制法との違いや盛土・切土の許可基準、住宅購入時の注意点を解説

不動産購入コラム

梅澤 英孝

筆者 梅澤 英孝

不動産キャリア22年

家探しは、物件だけでなく「誰と探すか」も大切です。不動産営業=“売る仕事”と思われがちですが、私にとっては“お客様の将来を一緒に考える仕事”です。お子さまの通学や生活動線、将来のライフプランまで、一緒に想像しながら最適な住まいをご提案しています。小さなご相談でも、どうぞ気軽にお声かけください。

盛土規制法とは?旧宅地造成等規制法との違いや盛土・切土の許可基準、住宅購入時の注意点を解説

土地や新築一戸建てを探していると、不動産会社から渡される重要事項説明書に「宅地造成等工事規制区域」という言葉が記載されていることがあります。

以前は「宅地造成工事規制区域」という名称でしたが、法律の改正によって、規制区域や対象となる工事の範囲が変更されました。

現在の法律の正式名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」で、一般的には「盛土規制法」と呼ばれています。

特に横浜市では、2025年4月1日から市内全域が宅地造成等工事規制区域に指定されています。

そのため、横浜市内で購入する土地や新築一戸建ては、すべて規制区域内に位置することになります。

しかし、規制区域と聞くと「地盤が弱い土地なのでは?」「土砂崩れの危険があるのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。

実際には、規制区域に指定されているからといって、その土地が危険というわけではありません。

今回は、盛土規制法の仕組みや旧宅地造成等規制法との違い、盛土・切土を行う際の許可基準、住宅を購入する際に確認しておきたいポイントについて解説します。

1.盛土規制法とは?

盛土規制法とは、盛土や切土などによって発生する崖崩れや土砂の流出を防ぎ、人々の生命や財産を守るための法律です。

正式名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」といいます。

住宅を建築する際には、土地の高低差を調整したり、傾斜地を平らにしたりするために造成工事を行うことがあります。

こうした造成工事では、主に「盛土」と「切土」という方法が使われます。

盛土とは?

盛土とは、もともとの地盤の上に土を盛り、土地を高くしたり、傾斜地を平らにしたりする工事です。

例えば、道路より低い土地に土を入れて道路と同じ高さにしたり、谷状になっている土地を埋めて平坦な宅地をつくったりするケースがあります。

切土とは?

切土とは、もともとの地盤を削り、土地を低くしたり、平らにしたりする工事です。

例えば、道路より高い土地を削って道路との高低差を小さくしたり、傾斜地を削って住宅を建てるための平坦な土地を確保したりするケースがあります。

盛土・切土の安全対策が重要

盛土や切土そのものが危険というわけではありません。

しかし、適切な地盤の締固めや排水処理、擁壁の設置などが行われていない場合には、地盤の崩壊や土砂の流出につながる可能性があります。

こうした災害を防止するため、一定規模以上の造成工事などに許可や安全対策を求めるのが盛土規制法です。

2.なぜ宅地造成等規制法から盛土規制法に変わったの?

以前の法律は「宅地造成等規制法」と呼ばれ、主に宅地造成に伴う崖崩れや土砂の流出を防ぐことを目的としていました。

しかし、従来の制度では、宅地以外の土地で行われる盛土や規制区域外で行われる盛土に対して、十分な規制が及ばないケースがありました。

法律改正の大きなきっかけとなったのが、2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害です。

大雨によって盛土が崩落し、多くの住宅が被害を受けました。

この災害などを受け、宅地だけでなく森林や農地なども含め、土地の用途にかかわらず危険な盛土を規制する仕組みが整備されました。

法律改正のポイント

2023年5月26日に新しい盛土規制法が施行されました。

新しい法律では、規制対象となる土地や工事の範囲が広がり、安全対策や検査制度なども強化されています。

3.旧宅地造成等規制法と盛土規制法の違い

新しい盛土規制法では、従来の宅地造成等規制法と比べて、規制する土地や工事の範囲が広がりました。

主な違いは次のとおりです。

比較項目 旧宅地造成等規制法 盛土規制法
主な目的 宅地造成による災害防止 盛土等による災害防止
規制対象の土地 主に宅地造成 宅地・農地・森林など
対象となる工事 一定規模の宅地造成 盛土・切土・土石の堆積など
安全対策 許可・技術基準など 許可・検査・報告制度などを強化
土地所有者等の責任 宅地の保全義務など 盛土等の安全維持に関する責務を明確化

大きな変更点は、住宅を建てるための宅地造成だけでなく、森林や農地で行う盛土や、土石の一時的な堆積なども規制対象になったことです。

また、一定の工事では中間検査や定期報告が必要になるなど、工事中の安全性を確認する仕組みも強化されました。

4.横浜市は2025年4月1日から全域が規制区域に

横浜市で土地や新築一戸建てを購入する方に知っておいていただきたいのが、規制区域の変更です。

横浜市では、2025年4月1日から市内全域が「宅地造成等工事規制区域」に指定されました。

以前の宅地造成工事規制区域は横浜市の約62%でしたが、新しい盛土規制法では100%に拡大されています。

横浜市の規制区域の変更

旧制度:約62%

新制度:100%

2025年4月1日から横浜市全域が宅地造成等工事規制区域に指定されています。

そのため、旭区・瀬谷区・保土ケ谷区・戸塚区・泉区・港南区・南区・磯子区など、横浜市内のすべての区が対象です。

ここで誤解してほしくないのは、横浜市全域が危険な土地という意味ではないことです。

盛土規制法は、造成工事などによって将来的に災害が発生することを防止するための法律です。

例えば、昔から住宅が建っている平坦な土地や、大きな造成工事が行われていない土地も規制区域に含まれています。

規制区域内=危険な土地ではありません

規制区域という理由だけで住宅の購入を避ける必要はありません。

大切なのは、その土地がどのように造成されているのか、擁壁や排水設備などに問題がないかを確認することです。

5.盛土や切土をする場合、許可は必要?

盛土規制法では、盛土や切土を行う場合、一定規模以上の工事について原則として許可が必要になります。

ただし、少しでも土を盛ったり、地面を削ったりすれば必ず許可が必要になるわけではありません。

横浜市では、主に次の5つの基準のいずれかに該当する場合、盛土規制法の許可が必要になります。

盛土・切土の許可が必要になる5つの基準

工事内容 許可が必要となる規模
① 盛土 高さ1mを超える崖が生じるもの
② 切土 高さ2mを超える崖が生じるもの
③ 盛土と切土 盛土と切土を同時に行い、高さ2mを超える崖が生じるもの(①②を除く)
④ 盛土 崖の有無にかかわらず盛土の高さが2mを超えるもの(①③を除く)
⑤ 盛土・切土 盛土または切土をする土地の面積が500㎡を超えるもの(①〜④を除く)

※ここでいう「崖」とは、原則として地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす土地をいいます。

※許可の要否は、工事内容や法令上の適用除外などによって異なる場合があります。

一般的な新築一戸建ての造成工事で考えてみましょう

それでは、横浜市内の100㎡程度の土地で新築一戸建てを建築する場合を例に説明します。

ケース①:100㎡の土地に50cmの盛土をする場合
原則として許可不要

道路より50cmほど低い土地に土を入れ、道路との高さを合わせる工事を行うとします。

盛土によって生じる崖の高さが50cmで、工事面積も100㎡の場合、上記の許可対象規模には該当しません。

そのため、ほかの工事や規制に該当しなければ、盛土規制法の許可は原則として不要です。

ケース②:100㎡の土地に1.5mの盛土をする場合
原則として許可が必要

道路より低い土地に1.5mの盛土を行い、高さ1mを超える崖が生じる場合には、盛土規制法の許可対象になります。

工事面積が100㎡と小さくても、盛土によって一定以上の高さの崖ができる場合には許可が必要になるため、注意が必要です。

ケース③:100㎡の土地で1.5mの切土をする場合
原則として許可不要

道路より高い土地を1.5m削り、平坦な土地をつくるケースです。

切土によって生じる崖の高さが1.5mであれば、原則として高さ2mを超える崖には該当しません。

工事面積も100㎡で、ほかの基準に該当しなければ、盛土規制法の許可は原則として不要です。

ケース④:500㎡を超える土地で盛土や切土をする場合
原則として許可が必要

盛土や切土によって大きな高低差が生じなくても、工事をする土地の面積が500㎡を超える場合は許可対象となることがあります。

例えば、600㎡の土地全体を造成する場合には、盛土や切土の高さだけでなく、工事面積による規制にも注意が必要です。

許可の要否は工事内容によって判断されます

これらは許可基準を理解するための一般的な例です。

実際には、工事前後の地盤の高さや崖の形状、造成する範囲、他の工事との関係などによって判断が異なります。

造成工事を予定している場合には、事前に横浜市や設計者などへ確認することが大切です。

6.開発許可を取得している場合はどうなる?

住宅地の開発では、盛土規制法とは別に、都市計画法に基づく開発許可が必要になる場合があります。

例えば、一定規模以上の土地を造成して複数棟の新築一戸建てを建築する場合などです。

このような開発事業で都市計画法第29条による開発許可を取得し、その許可内容に適合して造成工事を行う場合には、盛土規制法の許可を別途取得する必要はありません。

これは、都市計画法による開発許可を受けた工事について、盛土規制法の許可を受けたものとみなす制度があるためです。

開発許可がある場合のポイント

都市計画法の開発許可を受けた工事は、盛土規制法の許可を受けたものとみなされます。

ただし、盛土規制法の技術基準や必要な検査などが適用されなくなるわけではありません。

新築一戸建ての分譲現場では、すでに売主である不動産会社や開発事業者が必要な許可を取得し、造成工事を行っているケースもあります。

そのため、完成済みの新築一戸建てを購入する場合には、買主が新たに盛土規制法の許可を取得することは通常ありません。

一方、土地を購入して自分で造成工事を行う場合には、許可の必要性を事前に確認することが重要です。

7.古い擁壁の造り替えにも許可は必要?

横浜市には坂道や高低差のある住宅地が多く、擁壁が設置されている土地も少なくありません。

擁壁とは、高低差のある土地で土が崩れないように支える構造物のことです。

古い住宅を解体して建て替える場合や、中古住宅を購入してリフォームする場合などには、既存の擁壁を造り替えることもあります。

この場合、擁壁を造り替えるだけで必ず盛土規制法の許可が必要になるわけではありません。

例えば、既存の地盤の高さや土地の形状を基本的に変えず、古い擁壁を新しい擁壁に造り替える工事については、一定の条件を満たせば、盛土規制法の規制対象となる土地の形質変更に該当しない取扱いがあります。

ただし、擁壁を造り替える際に土地を高くしたり、造成範囲を広げたりする場合には、許可対象となる可能性があります。

擁壁の造り替えは事前確認が重要

盛土規制法の許可が不要でも、建築基準法などによる手続きが必要になるケースがあります。

そのため、擁壁の造り替えを予定している場合には、事前に横浜市や専門業者へ確認することが大切です。

8.盛土規制区域内の新築一戸建ては購入しても大丈夫?

重要事項説明書に「宅地造成等工事規制区域内」と記載されていても、それだけで購入を心配する必要はありません。

横浜市では市内全域が規制区域となっているため、平坦な住宅地や以前から建物が建っている土地も対象です。

大切なのは、規制区域に指定されているかどうかではなく、実際の土地の状態や造成工事の内容を確認することです。

例えば、道路と敷地に大きな高低差がある住宅や、擁壁の上に建てられた住宅の場合には、造成工事の履歴や擁壁の状態などを確認しておきたいところです。

一方、平坦な土地で大きな造成工事が行われていない住宅の場合、規制区域内であること自体が住宅の安全性に問題があることを意味するわけではありません。

建物と土地の許可は別々に確認

建築確認済証や検査済証は建物に関する書類であり、造成工事の許可や検査とは別のものです。

住宅購入時には、建物だけでなく土地についても確認することが重要です。

また、造成工事で必要な許可や検査が行われているかどうかも確認しておくと安心です。

9.中古住宅や古い擁壁がある土地は注意が必要

新築一戸建てだけでなく、中古住宅や土地を購入する場合にも注意したいポイントがあります。

特に確認しておきたいのが、古い擁壁です。

横浜市には高低差のある住宅地が多く、住宅の敷地と道路、あるいは隣地との間に擁壁が設置されているケースがあります。

こうした擁壁の中には、数十年前につくられたものや、当時の工事記録が残っていないものもあります。

古い擁壁がある土地で確認したいこと

  • 擁壁に大きなひび割れや傾きがないか
  • 水抜き穴などの排水設備が設けられているか
  • 造成工事の許可や検査の記録が残っているか
  • 擁壁が自分の土地の所有物なのか、隣地の所有物なのか
  • 将来の建て替えで擁壁の補修や再築造が必要になるか

古い擁壁だから必ず危険というわけではありませんが、建て替えの際に擁壁の補修や再築造が必要になるケースもあります。

擁壁の規模によっては工事費用が高額になることもあるため、土地を購入して注文住宅を建てる場合には、造成費用も考慮して資金計画を立てることが大切です。

10.盛土規制区域と土砂災害警戒区域は違う?

盛土規制法による規制区域と、土砂災害警戒区域は別の制度です。

名前が似ているため混同されることがありますが、それぞれ目的が異なります。

比較項目 盛土規制法の規制区域 土砂災害警戒区域
主な目的 盛土等による災害防止 土砂災害による被害の防止
主な対象 一定規模以上の造成工事など 土砂災害のおそれがある土地
主な規制・対策 工事の許可、安全基準など 警戒避難体制の整備など
横浜市での指定 市内全域 指定された区域

盛土規制法は、盛土や切土などの工事によって災害が発生することを防ぐ制度です。

一方、土砂災害警戒区域は、急傾斜地の崩壊や土石流などによって被害が発生するおそれのある区域を示しています。

2つの区域は意味が異なります

盛土規制法の規制区域内だから危険というわけではありません。

また、盛土規制法の許可を取得した土地だからといって、自然災害の危険性がすべてなくなるわけでもありません。

住宅を購入する際には、盛土規制法だけでなく、土砂災害警戒区域やハザードマップなども合わせて確認することが大切です。

11.住宅購入時に確認しておきたいポイント

土地や新築一戸建てを購入する際には、盛土規制法の対象区域かどうかだけでなく、実際の土地の状況を確認することが重要です。

特に、高低差のある土地や造成工事が行われた土地では、次のような点を確認しておきたいところです。

造成工事の履歴

土地を造成した時期や工事内容、必要な許可や検査が行われているかを確認します。

擁壁の状態

擁壁がある場合には、ひび割れや傾き、水抜き穴などの排水設備の状態を確認します。

土地の高低差

道路や隣地との高低差が大きい場合には、擁壁の維持管理や将来的な建て替えへの影響も考えておきましょう。

将来の建て替え

現在の建物には問題がなくても、将来的に建て替えや造成工事を行う際、新たな許可や安全対策が必要になる可能性があります。

関連する災害リスク

土砂災害警戒区域や浸水想定区域など、ほかの災害リスクについても確認しておくことが大切です。

横浜市の最新情報も確認しましょう

横浜市では2026年4月に盛土規制法の手引が改定されています。

実際に造成工事を予定している場合には、最新の取扱いを確認することをおすすめします。

まとめ|盛土規制法を理解して安心できる住宅購入を

  • 盛土規制法は盛土や切土による災害を防ぐ法律
  • 2023年5月26日に新しい法律が施行
  • 横浜市は2025年4月1日から市内全域が規制区域
  • 一定規模以上の盛土・切土には原則として許可が必要
  • 規制区域内だから危険な土地というわけではない
  • 住宅購入時は造成履歴や擁壁の状態も確認することが大切

盛土規制法は、盛土や切土などによる災害を防ぐための法律です。

2023年5月26日に施行され、横浜市では2025年4月1日から市内全域が宅地造成等工事規制区域に指定されました。

ただし、規制区域内だからといって、その土地が危険というわけではありません。

また、盛土や切土をする場合も、すべての工事に許可が必要になるわけではなく、工事の高さや面積などによって判断されます。

住宅を購入する際には、規制区域の指定だけでなく、土地の高低差や造成履歴、擁壁の状態などを確認することが大切です。

横浜市で土地や新築一戸建てを探す際には、こうした土地の特徴も理解しながら、安心して暮らせる住まいを選びましょう。

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