
注文住宅は建売住宅よりなぜ高い?価格差が生まれる理由と購入前に知っておきたいポイント
マイホームを購入する際、「せっかく家を買うなら、自分たちの希望を取り入れた注文住宅にしたい」と考える方は多いと思います。
間取りや外観、キッチンなどの設備を自由に選べる注文住宅は魅力的です。しかし、実際に土地探しやハウスメーカーとの打ち合わせを始めると、想像していた以上に費用がかかることに驚く方も少なくありません。
一方、新築建売住宅は土地と建物がセットで販売されており、注文住宅と比較すると価格が抑えられていることが一般的です。
では、なぜ同じ新築一戸建てでも価格に差が生まれるのでしょうか。
今回は、不動産会社の視点から、注文住宅と建売住宅の価格差が生まれる理由や、土地から注文住宅を建てる場合の注意点について解説します。
1.注文住宅と建売住宅はどのくらい価格が違う?

まずは、住宅購入費用を比較してみましょう。
住宅金融支援機構の「2025年度フラット35利用者調査」によると、全国の平均所要資金は次のようになっています。
| 住宅の種類 | 平均価格 |
|---|---|
| 土地付注文住宅 | 約5,313万円 |
| 建売住宅 | 約4,215万円 |
| 差額 | 約1,098万円 |
出典:住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」。フラット35利用者を対象とした全国平均です。
土地付注文住宅と建売住宅では、平均で約1,100万円の価格差があります。
ただし、これは土地の広さや建物の仕様などを統一して比較したものではありません。そのため、すべての住宅で同じような価格差が生まれるわけではありません。
それでも、土地から注文住宅を建てる場合には、建売住宅よりも総額が高くなりやすい傾向が見られます。
2.建売住宅が安く販売できる理由

建売住宅が比較的安く販売できる大きな理由は、建築会社がコストを抑える仕組みを持っていることです。
複数の住宅をまとめて建築できる
例えば、同じ分譲地に5棟の建売住宅を建築する場合、建築会社は複数の住宅をまとめて計画できます。
間取りや外観に多少の違いがあっても、使用する建材や住宅設備などを共通化することで、仕入れ価格や施工コストを抑えられます。
住宅設備を大量に仕入れられる
建売住宅を多く供給する建築会社では、キッチンやユニットバス、トイレ、建具などをまとめて仕入れられます。
一般的な住宅設備でも、大量に発注することで仕入れ価格が安くなるため、販売価格にも反映しやすくなります。
設計や打ち合わせのコストを抑えられる
建売住宅では、間取りや設備があらかじめ決まっているため、注文住宅ほど個別の打ち合わせに時間をかける必要がありません。
設計の効率化や工事の標準化などによって、人件費や管理コストも抑えやすくなります。
建売住宅が安いのは、必ずしも品質が悪いからではありません。
建材や設備の大量仕入れ、設計や施工の効率化など、建築費を抑えられる仕組みがあることが大きな理由です。
3.注文住宅は希望を取り入れるほど価格が上がりやすい

注文住宅の魅力は、自由に家づくりができることです。
しかし、この自由度の高さが建築費を押し上げる原因にもなります。
例えば、注文住宅の打ち合わせでは、次のような希望が出てくることがあります。
- リビングを広くして開放感を出したい
- キッチンのグレードを上げたい
- 大きな窓や吹き抜けを設けたい
- 収納を増やしたい
- 外壁や床材にこだわりたい
- 太陽光発電や床暖房を設置したい
一つひとつの変更は数万円から数十万円でも、積み重なると数百万円の増額になる場合があります。
また、注文住宅では間取りや外観の形状によっても建築費が変わります。
同じ延床面積でも、凹凸の多い建物や複雑な屋根形状にすると、材料費や施工費が増えることがあります。
注文住宅では、最初の見積金額が最終的な建築費になるとは限りません。
打ち合わせを進める中で設備や仕様を変更すると、当初の予算を超えてしまうことがあります。
国土交通省の「令和7年度住宅市場動向調査」でも、注文住宅取得世帯が満足していない項目として「価格(予定より高くなった)」が36.1%で最も多くなっています。
自由に選べることは魅力ですが、こだわりを実現するためには、その分の費用が必要になることを理解しておきましょう。
4.土地から購入する注文住宅はさらに費用がかかる

注文住宅を建てるために土地から購入する場合は、建物以外の費用にも注意が必要です。
建売住宅は不動産会社が土地を取得し、建物を建築して販売します。
一方、注文住宅では購入する土地の状態によって、追加工事が必要になることがあります。
地盤改良工事費
地盤調査の結果によっては、建物を安全に支えるための地盤改良工事が必要になります。
給排水工事費
水道管の引き込みや既存配管の交換などが必要になる場合があります。
造成工事・擁壁工事費
土地に高低差がある場合や、擁壁の安全性に問題がある場合には、造成工事などの費用が発生する可能性があります。
外構工事費
駐車場のコンクリート、フェンス、門柱、庭などの工事費用です。
注文住宅では、建築会社の見積もりにこれらの費用が含まれていないケースもあります。
そのため、建物本体価格が2,500万円でも、付帯工事費や外構工事費などを加えると、最終的な建築関連費用が3,000万円以上になることは十分に考えられます。
ただし、建売住宅でも土地の造成費用や外構費用は販売価格に織り込まれています。注文住宅だけに発生する費用というわけではありません。
土地代と建物本体価格だけで比較するのではなく、実際に住める状態になるまでの総額で考えることが大切です。
5.同じエリアで比較すると価格差が分かりやすい
例えば、横浜市内で土地と建物を購入する場合を考えてみましょう。
以下は、価格差の仕組みを説明するための仮定の事例です。
| 費用項目 | 建売住宅 | 土地付注文住宅 |
|---|---|---|
| 土地代 | 2,500万円相当 | 2,500万円 |
| 建物・工事費等 | 2,000万円相当 | 3,000万円 |
| 合計 | 4,500万円 | 5,500万円 |
※価格差の仕組みを説明するための仮定の金額です。実際の販売価格や建築費を示すものではありません。また、建売住宅の土地・建物の内訳は説明用の金額です。
この場合、土地の価格を同じと仮定しても、建物や工事費用の違いによって1,000万円の価格差が生まれます。
また、注文住宅では土地の仲介手数料、土地と建物それぞれの手続き費用、融資関連費用なども確認する必要があります。
もちろん、仕様をシンプルにした注文住宅や、土地を安く購入できた場合には、価格差を小さくできる可能性もあります。
しかし、同じエリアで同じくらいの広さの住宅を検討する場合、注文住宅の方が予算を多く確保する必要があるケースは少なくありません。
6.建売住宅だから住宅性能が低いわけではない
注文住宅と建売住宅を比較する際、価格だけでなく住宅性能を気にする方も多いと思います。
「注文住宅の方がしっかり建てられているのでは?」
「建売住宅は価格が安い分、性能も低いのでは?」
このようなイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、住宅の性能は注文住宅か建売住宅かという販売方法だけで決まるものではありません。
現在の新築建売住宅でも、省エネ性能や耐震性能に配慮した住宅が数多く販売されています。
例えば、建売住宅でも耐震等級3や長期優良住宅の認定を取得している物件があります。
反対に、注文住宅だからといって必ず耐震等級3になるわけではありません。
耐震性能や断熱性能、住宅設備などは、個々の住宅の仕様によって異なります。
住宅性能を比較する場合は、注文住宅か建売住宅かではなく、実際の性能や認定内容を確認することが重要です。
7.注文住宅と建売住宅はどちらを選ぶべき?

注文住宅にも建売住宅にも、それぞれメリットがあります。
注文住宅が向いている方
注文住宅は、家族の生活スタイルに合わせて間取りを考えたり、住宅設備やデザインを自由に選べたりすることが大きな魅力です。
- 間取りやデザインに強いこだわりがある方
- 家族の生活スタイルに合わせた住宅を建てたい方
- 住宅設備や建材を自分で選びたい方
- 家づくりの打ち合わせを楽しみたい方
- 建築費用にある程度の余裕がある方
建売住宅が向いている方
一方、建売住宅は実際の間取りや広さを確認しながら購入を検討できます。
- できるだけ購入費用を抑えたい方
- 購入後の資金計画を立てやすくしたい方
- 実際の住宅を見学して決めたい方
- 間取りや住宅設備に大きなこだわりがない方
- 比較的早く入居したい方
建築前の建売住宅であっても、基本的な設計や販売価格が決まっているため、注文住宅よりも資金計画を立てやすいことが一般的です。
また、完成済みの建売住宅であれば、比較的早く入居できるというメリットもあります。
住宅購入で大切なのは、希望する住まいと購入予算のバランスです。
注文住宅にこだわるあまり、住宅ローンの返済が生活の負担になってしまっては、せっかくのマイホームも十分に楽しめなくなってしまいます。
8.注文住宅を検討する方も建売住宅を見学してみよう
これから土地を探して注文住宅を建てようと考えている方には、ぜひ一度、建売住宅も見学していただきたいと思います。
最近の建売住宅は、間取りや住宅設備、デザインなども工夫されており、実際に見学すると印象が変わる方もいらっしゃいます。
また、建売住宅を見学することで、実際のリビングの広さや収納量、生活動線などを確認できます。
注文住宅を建てる場合でも、こうした経験は家づくりの参考になります。
1,000万円の価格差をどう考えるか
例えば、希望するエリアで注文住宅を建てると6,000万円かかるのに対して、希望条件に近い建売住宅が5,000万円で購入できるのであれば、その1,000万円の差をどう考えるかは重要です。
住宅ローンの借入額を抑えることもできますし、教育費や将来の生活費に余裕を持たせることもできます。
もちろん、注文住宅でしか実現できない希望もありますが、すべての方にとって注文住宅の方が満足度が高いとは限りません。
住宅を購入するときは、建物の希望だけでなく、購入後の生活も考えながら検討することをおすすめします。
まとめ|注文住宅と建売住宅は総額で比較することが大切
注文住宅は、間取りや設備を自由に決められる魅力がある一方で、建売住宅よりも価格が高くなりやすい傾向があります。
その理由は、建売住宅のように建材や住宅設備をまとめて仕入れたり、設計や施工を効率化したりすることが難しいためです。
また、土地から購入する注文住宅では、造成工事や地盤改良、外構工事など、建物本体価格以外の費用にも注意が必要です。
もちろん、注文住宅にしか実現できないこだわりもあります。
しかし、住宅購入は建物そのものだけでなく、購入後の生活も含めて考えることが大切です。
注文住宅と建売住宅の両方を比較し、無理のない予算で自分たちに合った住まいを選ぶことをおすすめします。
