
東京都心の中古マンション価格が4カ月連続下落|横浜市のマンション市場はどうなっている?
東京都心の中古マンション価格が4カ月連続下落|横浜市のマンション市場はどうなっている?
ここ数年、大幅な価格上昇が続いてきた中古マンション市場に変化が見え始めています。
東京カンテイが2026年9月24日に公表した8月のデータでは、東京都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の中古マンション平均希望売り出し価格は、70㎡あたり1億8068万円。前月比0.7%下落し、4カ月連続のマイナスとなりました。
価格水準そのものは依然として非常に高いため、「マンション価格が暴落している」という状況ではありません。
ただし、これまで上昇を続けてきた東京都心の中古マンション市場に、価格調整の動きが出てきたことは注目したいところです。
東京23区でも中古マンション価格が3カ月連続下落

価格調整は都心6区だけではありません。
2026年8月の東京23区の中古マンション平均希望売り出し価格は、70㎡あたり1億2677万円。前月比0.4%下落し、こちらも3カ月連続のマイナスとなりました。
さらに東京都全体でも前月比0.2%安の1億1274万円となり、2年4カ月ぶりに下落しました。
東京都心6区だけではなく、東京23区、東京都全体にも価格調整の動きが広がり始めています。
価格下落以上に注目したい「売り物件の増加」
今回のデータで特に注目したいのが、価格そのものよりも中古マンションの売り物件が増えていることです。
東京都心6区では流通戸数が前月比2.2%増の5424戸となりました。中古マンションは、売り物件が少なく購入希望者が多ければ、売主側が価格を決めやすい市場になります。
反対に売り物件が増えてくると、購入者は複数のマンションを比較できるようになります。
これまでのように「早く決めなければ他の人に買われてしまう」という状況から、少しずつ買主側も物件を選びやすい市場へ変化している可能性があります。
半数以上の中古マンションが値下げ

さらに東京都心6区では、直近3カ月以内に値下げした物件の割合が52.2%と半数を超えています。
これは中古マンション市場の変化を見るうえで重要な数字です。中古マンションの売り出し価格は、売主の希望も含めて設定されます。
しかし、その価格で問い合わせや内覧が入らなければ、売却するために価格を見直す必要が出てきます。
これは、売主が希望する価格と購入者が実際に買おうとする価格の間に、ズレが出始めている可能性を示しています。
なぜ東京都心のマンション価格が下がり始めたのか
東京都心の中古マンション価格は、ここ数年で大幅に上昇しました。
自宅として購入する実需だけではなく、投資目的や海外からの購入需要なども価格上昇を支えてきたと考えられます。
しかし、価格が上昇し続ければ購入できる人は当然少なくなります。さらに金利の上昇などによって購入者の資金調達環境が変われば、高額なマンションほど影響を受けやすくなります。
これまでのような強気の価格で売りに出しても買い手がつかず、在庫が増え、売主が価格を下げる。
東京都心では、そのような市場の変化が数字に表れ始めています。
それでも「マンション価格が暴落した」わけではない
東京都心6区では4カ月連続で価格が下落していますが、70㎡あたり1億8068万円という価格水準です。
ここ数年で大きく値上がりしたことを考えれば、現在は高値圏から少し調整している段階と見ることもできます。
数カ月の下落だけを見て、「マンションバブルが崩壊した」「これからマンション価格が一気に下がる」と判断するのはまだ早いでしょう。
重要なのは、この先も売り物件が増えるのか、値下げする物件がさらに増えるのか、そして実際の成約価格がどう動くのかです。
一方、横浜市の中古マンション価格は上昇

東京都心で価格調整が進む一方、横浜市では違った動きが見られます。
2026年8月の横浜市の中古マンション平均希望売り出し価格は、70㎡あたり4750万円。前月比では0.1%上昇しています。
| エリア | 70㎡あたり価格 | 前月比 |
|---|---|---|
| 東京都心6区 | 1億8068万円 | -0.7% |
| 東京23区 | 1億2677万円 | -0.4% |
| 横浜市 | 4750万円 | +0.1% |
東京都心で価格が下がっているからといって、首都圏の中古マンションが一斉に下落しているわけではありません。
東京と横浜では価格水準も購入者層も異なるため、それぞれの市場を分けて見る必要があります。
横浜・川崎では実際の成約市場も底堅く推移
中古マンション市場を見るときに注意したいのが、ここまで紹介した東京カンテイの数字は売主が提示している希望売り出し価格であることです。
そこで参考になるのが、東日本不動産流通機構(REINS)が公表している実際の成約データです。
REINSでは中古マンションについて、実際に売買が成立した成約価格や成約件数などを公表しています。
前年の2025年8月を見ると、横浜・川崎市の中古マンション成約件数は594件で前年同月比50.4%増、成約㎡単価は66.29万円で前年同月比1.4%上昇していました。
少なくとも、横浜・川崎の中古マンション市場では、売り出し価格だけが上昇してきたわけではなく、実際の取引市場でも価格が上昇してきたことが分かります。
※REINSの地域データには「横浜市・川崎市」を合算した区分があるため、横浜市単独の東京カンテイのデータとは単純比較できません。
横浜市でもすべてのマンションが同じように上がるわけではない

横浜市の平均価格が上昇しているからといって、市内すべての中古マンションが同じように値上がりしているわけではありません。
横浜市は非常に広く、横浜駅周辺やみなとみらいなどの都心部と、郊外の住宅地ではマンション市場が大きく異なります。
さらに同じエリアでも、駅からの距離、築年数、マンションの規模、管理状態、階数、眺望などによって価格には大きな差があります。
特に中古マンションでは、築年数が経過するほど建物そのものだけでなく、管理状態や修繕計画などによって物件ごとの差が出やすくなります。
売り出し価格と成約価格は分けて考える
今回の市場を見るうえで、もう一つ覚えておきたいのが「売り出し価格」と「成約価格」の違いです。
売り出し価格は売主が市場に出した価格ですが、成約価格は実際に売買契約が成立した価格です。
例えば売り出し価格が5000万円でも、価格交渉によって4800万円で成約することがあります。逆に、人気の高いマンションでは大きな値引きをせずに成約する場合もあります。
特に現在の東京都心のように値下げ物件が増えている局面では、平均の売り出し価格だけでは市場の実態を判断しにくくなります。
これからは、「いくらで売りに出されているか」だけでなく、「実際にいくらで売れているか」を見ることがより重要になってきます。
中古マンションを購入する人には選択肢が増える可能性も
売り物件が増えることは、購入者にとって必ずしも悪いことではありません。
在庫が少ない市場では、条件の良いマンションが売りに出ると短期間で購入判断を迫られることがあります。
しかし、在庫が増えれば複数のマンションを比較しやすくなります。
さらに売却期間が長くなった物件では、売主が価格を見直したり、価格交渉に応じたりするケースも出てきます。ここ数年はマンション価格の上昇が続き、売主側が比較的強い市場でした。
東京都心で始まっている在庫増加と値下げ物件の増加が続けば、少しずつ購入者が選びやすい市場へ変わっていく可能性があります。
まとめ|中古マンション市場に変化の兆し
東京都心では中古マンション価格の下落に加え、売り物件や値下げ物件も増えています。
一方、横浜市の平均希望売り出し価格は上昇しており、首都圏全体が一斉に下落しているわけではありません。
現在は、エリアによって中古マンション市場の動きが分かれ始めている段階といえそうです。
今後は平均価格だけでなく、在庫数や値下げ物件、そして実際の成約価格の動きにも注目です。
