二世帯住宅のメリット!税金の優遇を受ける条件やポイントを解説

住宅ローンコラム

梅澤 英孝

筆者 梅澤 英孝

不動産キャリア21年

家探しは、物件だけでなく「誰と探すか」も大切です。不動産営業=“売る仕事”と思われがちですが、私にとっては“お客様の将来を一緒に考える仕事”です。お子さまの通学や生活動線、将来のライフプランまで、一緒に想像しながら最適な住まいをご提案しています。小さなご相談でも、どうぞ気軽にお声かけください。

二世帯住宅は税金面でのメリットがあることはご存知でしょうか?二世帯住宅では税制優遇を受けられることが多く、条件を知ることで、より賢く資金計画を立てることが可能です。
この記事では、二世帯住宅の税金面でのメリットや、そして相続時のポイントなどを解説いたします。


二世帯住宅で最大2,400万円控除 のメリット?登記方法で税金控除額が変わる!?


二世帯住宅における税金面でのメリット

二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が同じ建物内で生活する住まいの形です。二世帯住宅を建築する際、一定の条件を満たすと税制上のさまざまな優遇措置を受けることができます。以下に、主な税制上のメリットをご紹介します。


住宅ローン控除

まず、住宅ローン控除についてです。これは、住宅ローンの年末残高に応じて所得税や住民税から一定額が控除される制度です。二世帯住宅の場合、親世帯と子世帯がそれぞれ住宅ローンを組み、共有登記や区分登記を行うことで、各世帯が個別に住宅ローン控除を受けることが可能になります。これにより、双方の世帯が税制上の恩恵を受けられるのです。


不動産取得税の軽減

新築住宅を取得した際には、不動産取得税が課されますが、一定の条件を満たすことで軽減措置を受けることができます。

具体的には、50平方メートル以上240平方メートル以下の床面積を有する住宅の場合、固定資産税評価額から1世帯あたり1,200万円が控除されます。二世帯住宅で区分登記を行い、各世帯が独立した住戸と認められる場合、この控除が2戸分適用され、合計で2,400万円の控除を受けることが可能です。これにより、不動産取得税の負担が大幅に軽減されます。


固定資産税の軽減

新築住宅の場合、建物部分の固定資産税が一定期間半額に軽減される制度があります。具体的には、一般住宅では新築後3年間、長期優良住宅では5年間、床面積120平方メートルまでの部分について固定資産税が2分の1に減額されます。こちらも二世帯住宅で区分登記を行い、各世帯が独立した住戸と認められる場合、この軽減措置が2戸分適用され、合計で240平方メートルまでの部分が減額対象となるのです。これにより、固定資産税の負担が大幅に軽減されます。以下に、二世帯住宅における主な税制上のメリットをまとめた表を示します。

税制措置 適用条件 軽減内容
住宅ローン控除 ・各世帯が住宅ローンを組む
・共有登記や区分登記を行う
各世帯が個別に住宅ローン控除を受けられる
不動産取得税の軽減 ・50㎡以上240㎡以下の床面積を有する住宅
・区分登記を行い各世帯が独立した住戸と認められる
固定資産税評価額から2,400万円(1,200万円×2戸分)の控除
固定資産税の軽減 ・新築後3年間(長期優良住宅は5年間)
・区分登記を行い各世帯が独立した住戸と認められる
床面積240㎡(120㎡×2戸分)までの部分が固定資産税2分の1に減額

これらの税制上のメリットを最大限に活用するためには、二世帯住宅の設計や登記方法を慎重に検討することが重要です。建築する際は、ハウスメーカーの担当者にご相談ください。

税制優遇を受けられる二世帯住宅を探す!

相続税における二世帯住宅の優遇措置

二世帯住宅を相続する際、税制上の優遇措置を受けられる可能性があります。以下に、主な優遇措置とその適用条件について詳しく説明します。


【重要】登記方法

まず、登記方法の選択が税制優遇の適用に大きく影響します。二世帯住宅の登記方法には主に以下の3つがあります。

登記方法 特徴 税制優遇への影響
単独登記 建物全体を親または子のどちらか一方の名義で登記する方法。 住宅ローン控除は名義人のみ適用。小規模宅地等の特例の適用が可能。
共有登記 親と子が出資割合に応じて共有名義で登記する方法。 双方が住宅ローン控除を受けられる。小規模宅地等の特例の適用が可能。
区分登記 建物を物理的に分け、それぞれを独立した建物として登記する方法。 固定資産税や不動産取得税の軽減措置が拡大。ただし、小規模宅地等の特例の適用が難しくなる場合がある。

将来的な相続税の軽減を考慮する場合、単独登記や共有登記を選択することが望ましいです。ここからはその詳細を解説いたします。


小規模宅地等の特例


小規模宅地等の特例


相続税の優遇措置を受けるために重要なのが、「小規模宅地等の特例」です。この特例を適用すると、被相続人が居住していた宅地の評価額が最大80%減額されます。二世帯住宅の場合、この特例を受けるためには、先に紹介した建物の登記方法が重要なポイントとなるのです。具体的には、二世帯住宅が「区分登記」されている場合、つまり親世帯と子世帯の居住部分が別々に登記されている場合は、特例の適用が認められません。一方、単独登記や共有登記など、建物全体が一つの不動産として登記されている場合、特例の適用が可能となります。これは、建物内部での行き来が可能かどうかに関係なく、登記上の区分がないことが条件となります。例えば、完全分離型であっても、区分登記がされていなければ特例の適用が可能です。反対に、内部で行き来が可能な構造であっても、区分登記がされている場合は特例の適用が認められません。さらに、相続人が被相続人と同居していることも特例適用の要件となります。相続開始時に同居しており、相続税の申告期限まで引き続きその住宅に居住する必要があるのです。

このように、二世帯住宅の相続税の優遇措置として「小規模宅地等の特例」を活用するためには、登記方法や同居の状況など、さまざまな要件を満たす必要があります。適用条件は複雑であり、誤った判断をすると特例が適用されない可能性もあります。したがって、二世帯住宅の建築する際に相続税優遇を検討されている方は、事前に専門家に相談し、適切な対策を講じることがおすすめです。

二世帯住宅の税制優遇を活用するためのポイント

二世帯住宅を検討されている皆様にとって、税制優遇を最大限に活用することは重要です。以下に、そのための具体的なポイントをご紹介します。まず、税制改正や適用期限の最新情報を常に確認することが重要です。税制は頻繁に改正されるため、最新の情報を把握しておきましょう。例えば、2025年現在、住宅ローン控除や不動産取得税の軽減措置など、多くの税制優遇が適用されていますが、これらの制度は期限が設けられている場合があります。最新の情報を得るためには、国税庁や地方自治体の公式ウェブサイトを定期的にチェックすることをおすすめします。次に、専門家への相談や計画段階での税務対策の必要性についてです。二世帯住宅の税制優遇を最大限に活用するためには、税務や不動産に精通した専門家に相談することが不可欠です。専門家は、個々の状況に応じた最適な登記方法や税務対策を提案します。また、計画段階から税務対策を考慮することで、後々のトラブルを未然に防ぐことにつながります。例えば、登記方法の選択や資金計画の立案など、初期段階での適切な対応が、将来的な税負担の軽減となるでしょう。

以上のポイントを踏まえ、二世帯住宅の計画を進めることで、税制優遇を最大限に活用し、経済的なメリットを享受することが可能となります。計画段階から慎重に検討し、専門家のアドバイスを受けながら進めていくことがおすすめです。

税金以外の二世帯住宅のメリット

二世帯住宅で暮らすと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主な3つのメリットについてご紹介します。


家族間のサポート強化

代表的なメリットとして、家族間のコミュニケーションが深まり、相互サポートしやすいことが挙げられます。特に、共働きの子世帯にとって、親世帯が子育てや家事を手伝うことで、日常生活の負担軽減が期待できるでしょう。さらに、親世帯が高齢の場合、子世帯が近くで見守ることができるため、安心感が増します。


経済的負担の軽減

生活費や光熱費を共有することで、経済的な負担も軽減されます。例えば、電気や水道、ガスなどの光熱費を一本化することで、各世帯が別々に生活するよりもコストを抑えることが可能です。さらに、食材の共同購入や調理の分担など、日常の生活費を効率的に管理することができます。


資産活用の効率化

土地や建物を共有することで、資産活用の効率化も図れます。一つの土地に二世帯が住むことで、土地の有効活用が可能となり、建築費用も抑えることができます。さらに、将来的に賃貸として活用する場合にも、二世帯住宅は柔軟な対応が可能です。このように、二世帯住宅は家族の絆を深め、経済的にも多くのメリットをもたらします。計画段階で家族全員の意見をしっかりと取り入れ、最適な住まいを実現することが重要です。

まとめ

二世帯住宅には、家族のつながりを深めたり生活費を抑えたりできるだけでなく、税金面でも多くのメリットがあります。住宅ローン控除や不動産取得税、固定資産税など、知っているだけで将来的な負担を軽減できる制度が整っています。

また、相続税についても特例措置が設けられ、登記や契約形態によって受けられる優遇が異なる点は重要です。これらの制度は、最新の法改正や適用条件を正しく把握したうえで活用しなければ、思わぬ損失につながることもあります。不明点や不安があれば、早い段階で専門家に相談し、将来の安心を得るための準備を始めましょう。

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