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ペアローンは離婚がリスク?50年ローン時代に知っておきたい注意点

住宅ローンコラム

梅澤 英孝

筆者 梅澤 英孝

不動産キャリア22年

家探しは、物件だけでなく「誰と探すか」も大切です。不動産営業=“売る仕事”と思われがちですが、私にとっては“お客様の将来を一緒に考える仕事”です。お子さまの通学や生活動線、将来のライフプランまで、一緒に想像しながら最適な住まいをご提案しています。小さなご相談でも、どうぞ気軽にお声かけください。

ペアローンは離婚がリスク?50年ローン時代に知っておきたい注意点

最近は住宅価格の上昇もあり、夫婦それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」を利用して住宅を購入する方が増えています。


特に20代、30代の共働き世帯では、1人の収入だけでは希望する物件に届かなくても、夫婦2人の収入を合わせることで借入可能額を増やせるため、ペアローンは住宅購入の有力な選択肢になっています。


一方で、ペアローンには購入時には見えにくいリスクもあります。

その代表的なものが、離婚した場合の住宅ローンです。

住宅を購入するときに離婚を考える夫婦はほとんどいません。しかし、住宅ローンは35年、40年、最近では50年という長期間になります。


だからこそ、購入時には少しだけ冷静になって、将来の出口まで考えておくことが大切です。

ペアローンとは?

ペアローンとは、1つの住宅に対して夫婦それぞれが住宅ローンを契約する方法です。

例えば7,000万円の新築戸建てを購入する場合、

夫:4,000万円
妻:3,000万円

というように、それぞれが住宅ローンを組みます。1人で住宅ローンを組むよりも借入可能額を増やしやすいため、住宅価格が高くなっている現在では利用する方も増えています。


また、それぞれが住宅ローンの債務者になるため、条件を満たせば夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できる点もメリットです。

ペアローンのメリットは希望する物件を購入しやすくなること

ペアローンの一番のメリットは、夫婦2人の収入を使って住宅ローンを組めることです。


例えば夫1人では5,000万円までしか借りられない場合でも、妻にも安定した収入があれば6,000万円、7,000万円と借入可能額を増やせる可能性があります。


横浜市内でも住宅価格が上昇しているため、

「夫1人の住宅ローンでは希望する物件に届かない」

というケースは珍しくありません。

共働き世帯にとって、ペアローンは住宅購入の選択肢を広げてくれる便利な方法です。

ただし、「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は違います。

結婚をきっかけに家を買う夫婦は離婚を考えない

住宅購入のタイミングは、結婚や出産など家族にとって大きな節目と重なることが多くあります。


結婚して、

  • 「そろそろ家を買おう」
  • 「子どもができる前に購入しよう」
  • 「この街で家族で暮らしていこう」

と、新しい生活を楽しみにしながら住宅を探している時期です。当然、そのタイミングで離婚することを考えている夫婦はほとんどいません。


また、不動産会社の営業担当者からも、

「将来、離婚したらどうしますか?」

という話はなかなかしにくいものです。

せっかく新居を探している幸せな時期に、離婚の話をするのは現実的には難しいでしょう。


しかし、住宅ローンは非常に長い契約です。

購入時には想像していなかったことが、10年後、20年後に起きる可能性はあります。

ペアローンは離婚してもなくならない

ここがペアローンで最も注意したいところです。夫婦が離婚しても、銀行との住宅ローン契約まで自動的になくなるわけではありません。


例えば、

夫:4,000万円
妻:3,000万円

のペアローンを組んでいたとします。

その後離婚して妻が住宅を出たとしても、妻が契約している住宅ローンが自動的に夫へ移るわけではありません。

夫婦関係は終わっても、住宅ローンの契約関係は残ります。

そのため、

「離婚したから夫が全部払う」
「妻が家を出たから妻の住宅ローンはなくなる」

というように簡単には整理できません。

どちらか1人の住宅ローンに変更するのも簡単ではない

離婚した場合、

「夫がそのまま家に住むので、妻の住宅ローンも夫名義に変更したい」

と考えるケースがあります。


しかし、住宅ローンの名義だけを簡単に変更することは基本的にできません。


夫1人で住宅ローンを引き継ぐのであれば、改めて金融機関の審査が必要になります。


例えば離婚時点で住宅ローンが6,000万円残っていた場合、夫1人の収入では6,000万円を借りられなければ、住宅ローンを1本にまとめることが難しくなります。


もともと夫婦2人の収入を前提に借りているため、離婚したときに1人では借りられない金額になっていることがあるのです。

20代の50年ローンは10年後の残債に注意

最近は20代で住宅を購入し、40年、50年という長期間の住宅ローンを利用する方も増えています。


返済期間を長くすれば毎月の返済額を抑えられるため、住宅価格が高くなっている現在では合理的な選択肢の一つです。


ただし、ペアローンと50年ローンを組み合わせる場合には特に注意が必要です。

20代で50年ローンを組めば、10年後でもまだ30代です。

しかも50年ローンでは、10年間返済したとしても住宅ローン残高がかなり残っているケースがあります。


「10年間も返済したから、住宅ローンもかなり減っているだろう」


と思うかもしれません。しかし返済期間が長い分、残債の減り方もゆっくりになります。


そのため30代で離婚することになったとき、

住宅ローン残高が想像以上に残っている

ということが起こりやすくなります。

家を売れば解決するとは限らない

離婚した場合、住宅を売却して住宅ローンを完済する方法もあります。


例えば住宅ローン残高が5,000万円で、住宅が5,500万円で売れれば、売却代金から住宅ローンを返済できます。


しかし、

住宅ローン残高:5,000万円
売却価格:4,500万円

不足額:500万円

だった場合、500万円不足します。

このように、

売却価格 < 住宅ローン残高

となると、簡単には売却できません。


特に50年ローンの場合、購入から10年程度では残債が大きく残っている可能性があります。


そのため離婚したくても、

  • 家を売れない
  • 住宅ローンを一本化できない

という状況になることも考えられます。

共有名義も離婚時には整理が必要

ペアローンでは、住宅を夫婦の共有名義にするケースが多くなります。


共有名義の住宅を売却する場合には、基本的に夫婦双方の協力が必要になります。


例えば、

夫は売りたい
妻は売りたくない

という状況になれば、話し合いが難しくなることがあります。


住宅ローンだけではなく、不動産の所有権についても整理する必要があるため、離婚時の手続きが複雑になりやすいのがペアローンの特徴です。

片方が亡くなった場合にも注意

ペアローンでは、夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入するのが一般的です。


例えば夫3,500万円、妻3,500万円のペアローンの場合。


夫が亡くなれば、夫の住宅ローンは団信によって完済されます。


しかし一般的な団信では、妻の3,500万円はそのまま残ります。

どちらか一方に万一のことがあったからといって、住宅ローン全額がなくなるとは限りません。

最近では、どちらか一方に万一のことがあった場合に2人分の住宅ローンを保障するタイプの商品もあります。


ペアローンを利用する場合には、金利だけでなく団信の内容も確認しておきたいところです。

ペアローンそのものが悪いわけではない

ここまで読むと、

「ペアローンはやめた方がいいのでは?」

と思うかもしれません。


しかし、ペアローンそのものが悪いわけではありません。共働きで安定した収入がある夫婦にとっては、希望する住宅を購入するための有効な方法です。


注意したいのは、

夫婦2人で借りられる最大金額まで借りてしまうこと

です。

例えば銀行から8,000万円借りられると言われても、7,000万円程度に抑える。


あるいは、どちらかの収入が一時的に減っても返済できる金額にしておく。


住宅ローンは「借りられる金額」ではなく、「長期間無理なく返せる金額」で考えることが大切です。

離婚を前提に住宅を買う必要はない

住宅を購入するときから離婚を前提に考える必要はありません。結婚して新しい生活を始めるときに、離婚のことばかり考えていては楽しくありません。


ただし、50年という長期間の住宅ローンを組むのであれば、

「もし10年後に状況が変わったらどうなるか」

ということを一度考えておくことには意味があります。離婚だけではありません。


出産、育児、転職、病気、収入減、親の介護など、夫婦の生活は長い住宅ローン期間の中で変化していきます。


だからこそペアローンを利用する場合には、

「毎月払えるか」

だけではなく、

「将来どちらか1人になった場合でも整理できる借入額か」

という視点を持っておくことが大切です。

まとめ

ペアローンは夫婦2人の収入を活かして住宅購入の選択肢を広げられる便利な方法です。一方で、離婚しても住宅ローンは自動的にはなくなりません。


特に20代で50年ローンを利用する場合、10年後でも住宅ローン残高が大きく残っている可能性があります。


住宅を購入するときに離婚を考える夫婦はほとんどいません。

だからこそ、住宅ローンを組む前に少しだけ将来のことまで考えて、「借りられる金額いっぱいまで借りない」ことがペアローンでは特に重要です。
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